【相続分野2022最新トレンド】 相続分野における「二極化」が急速に進行

【相続分野2022最新トレンド】 相続分野における「二極化」が急速に進行

相続分野の二極化を生んでいる取り組み

コンサルティング業務の中で、士業業界のトップランナー経営者様や、私たちのご支援先、勉強会会員事務所様などにお話を聞く中で、
相続分野における急成長事務所とそれ以外の事務所との「二極化」が急速に進んでいる
と感じることが増えてきました。
急成長事務所の特徴としては
・Webマーケティング年間数千万円~数億円の投資を行い、大量案件を集客している
・東京、大阪だけではなくその他都市圏への新規出店を進めている
・葬儀社、金融機関などと業務提携を行い、大量&安定した相続案件を集客している
・相続業務の売上だけではなく、不動産売買仲介の収益化も行なっている
などが挙げられるかと思います。以下ご説明していきます。

Webマーケティング年間数千万円~数億円の投資を行い、大量案件を集客している

相続分野に特化した大手税理士法人が相続分野のWebマーケティングにおいて年間数千万円~数億円の投資を行うなど席捲しており、ここ2~3年でのWebマーケティングの難易度は急速に上がっています。
リスティング広告はもちろん、SNS広告、SEO対策、YouTube動画など様々な取り組みを行って集客を行っているため、中途半端なWebマーケティング参入では成功しにくいだけではなく、不採算部門を作ってしまう要因にもなりかねません。

これは都市圏だけでの話ではなく、地方商圏にも大きな影響を与えています。コロナ禍の影響もあり、大手税理士法人などによるオンライン面談対応で、一定数の顧客が奪われています。この傾向は今年以降もますます強くなっていく見込みです。

東京、大阪だけではなくその他都市圏への新規出店を進めている

これまでは東京や大阪など人口が多く、比較的所得指数の高い方が住んでいるエリアなどを中心に出店をしていた大手法人が、近年それ以外の地方都市にも出店をするケースが増えてきました。
これまで全国展開をする事務所がほとんどなかった要因は、相続業務が標準化しにくく、集客・受任などの工程も、商圏やスタッフの力に依存することが多かったというのがあると思います。

しかし、近年では集客・受任・業務処理などが標準化され、KPIが明確になり、管理がしやすくなったため、複数拠点を持ちマーケティング活動を行う大手税理士法人が増えています。
急成長するV社は、相続分野強化から約5年で全国18拠点を持つなど、積極的に出店し、シェアを獲得していっています。

葬儀社、金融機関などと業務提携を行い、大量&安定した相続案件を集客している

前述の通り、Webマーケティングは税理士の参入シェアが高く、司法書士や行政書士、弁護士などの他士業は後塵を拝す形となっています。
その理由は、投資における売上見込みが最も高いからだと考えられます。受任単価が高いことはもちろん、面談から受任に至るまでのKPIも高いため、売上計画が立てやすく、投資回収率も高いためです。

一方、司法書士や行政書士などは、葬儀社との業務提携を進め、葬儀顧客に対する相続提案を積極的に行うなど、相続発生時点で見込み顧客にリーチしていく取り組みを強化しています。
相続発生時点の顧客は、相続の手続きについての理解が及んでいないことも多く、相続手続全般のニーズに対応しなければなりません。
相続税申告だけではなく、採算性が低いと考えられる相続手続きに対応することができなければならず、そのためこの領域では司法書士や行政書士など、相続手続業務をメインとするプレイヤーが強みを持っていると言えます。

しかしながら、この取り組みも大手法人を中心に3人事務所が急増しており、「葬儀社への紹介手数料の割合」を引き上げることで既存事務所からの切り替えを行うなど、ますますこの取り組みにおける収益性は悪化していくと予想されます。

相続業務の売上だけではなく、不動産売買仲介の収益化も行なっている

前述の通り、税理士や司法書士、行政書士の中で相続分野に特化した大手法人を中心に相続業務の一極集中の傾向が見られますが、これらの法人は業務単体での収益性を考えておらず、相続業務に対応することで出てくる不動産売却への対応で収益化を図る体制に変わってきています。
収益性が高い不動産業務に取り組むため、相続業務の集客に積極的に投資しています。
相続税申告業務や相続登記業務の報酬設定が、業界平均よりも極端に安い形でマーケティングを行っている士業事務所屋リーガルテック企業が増えていますが、彼らの本当の狙いは不動産売却案件の獲得です。

「勝てる競争戦略」を立てた上で、相続分野を強化しよう

前述でご紹介したように、相続分野を取り巻くマーケティングや競争環境は大きく変化しています。このようなトレンドを抑え「勝てる競争戦略」を持ったうえでマーケティングを行わなければ、不採算部門を作ってしまう可能性が高くなります。
船井総研コンサルタントも、引き続き相続分野のトレンドを押さえながら、ご支援先や会員事務所様に対して情報発信を行っていきたいと思います。

【執筆者:川崎啓】

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